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2006年11月23日 (木)

名古屋市博物館の五重塔

名古屋市博物館に行ってきました。

夕方近くになってから時間があると思って、天台宗の展覧会に駆け込んできました。

チケットを知人からもらっていたこともあるのですが、内容はなかなか興味深いものが多く、大勢の人でにぎわっていました。若い方の姿が多かったような気がします。なかなか天台宗のお寺とご縁がないんですよね。十一面観音が多いのが印象的でした。それにお薬師さんも。

充実した内容の展示を後にして、売店に向かいました。どんどんきれいになってきているのでうれしいです。それと博物館の自主企画の本も充実しているので、驚きです。努力を感じさせて頂けます。

その売店を曲がって奥に行くと、五重塔の立派な模型があります。

八事興正寺さんの五重塔です。

一時期、飾られていなかったのですが、最近またこの位置に復活しましたね。開館すぐに飾られていたものだと思います。

この模型をつくった人を知っています。

中島寿勝さんといいます。

かなりの腕をおもちのかただったそうです。五重塔を納めたときは絶頂の時だったといっていらっしゃいました。しかし脳梗塞で運命がかわりました。すべてがくずれていったといっていらっしゃいました。でも目も開いていったと。

お寺にはどうしたきっかけでこられるようになったか・・・。朝がゆ会のポスターを見て、参加してもいいかと聞かれたのが始まりのような気がします。うちにこられているときはいつもにこにこと、お説教のときも大きくうなずかれていらっしゃる姿が印象的でした。

何年目の夏だったでしょうか。あるとき、おっさん、うちにおまいりにきてくれんかといわれました。ずっとおきょうさんをあげてもらっていないんでなあ。

おうかがいすると、あらけずりですが、左手の彫刻が床の間においてありました。そしてそこに自分の戒名と、博物館で除幕式をしているときの写真が飾ってありました。

その時初めて知ったのです。この人があの精緻な模型をつくった人だということに。

いやな人間だったんですわ。だからばちがあたったんです。でもそのばちで目を覚ませてもろうたんです。不思議なもんです。ある時には気がつかず、気がついたときにはみんななくしてしまっておる。家族も・・・です。だからせめて世間様に恩返ししなけりゃならんとおもって、不老会に登録してあるんだ。献体するんだ・・・。

毎月おまいりにお伺いして、いつもいろんな話を聞かしてくれました。

しかしある時、電話がかかってきました。

入院しなければならなくなった。また電話するから、退院したらおまいりしてな・・。

それが最後でした。様子を見に行っても玄関はいつもぴったりと閉められていました。不安な気持ちがよぎりましたが、平成十六年の十一月、地蔵堂の落慶法要の時に、よろよろと杖をつきながら、お友達とやってきてくれました。

苦しかったと思いますが、顔をくちゃくちゃにして、わがことのようによろこんでくれました。

おめでとう、おめでとうなあ・・・。

それがお目にかかった最後でした。

ある日の深夜、電話がかかってきました。

おっさん、申し訳ないけど、どうしてもおひとり迎え入れてやってくれませんか。身寄りがあるんですが、不老会でお葬儀をされるということで、出棺までなんですけど・・・。

そのとき、うちのお寺も朝がゆ会の準備やら、他の方のお葬儀やら法事やらで何故か部屋があいていなかったのです。あいているのは地蔵堂だけです。いままで地蔵堂でお葬式をしたことはないけど・・・。いいじゃない、あけてあけようや。住職が言われて、準備します。スロープの下に搬送車が到着します。ご遺体を運び上げるお手伝いをします。やせた人だなあ。地蔵堂に安置して、お経をあげてそう思いました。

その人が、中島さんだったのです。

それを知ったのは朝が来て、駆けつけたご家族によってでした。お寺のものは皆驚いてしまって・・・。ちょうど朝がゆ会があって、すぐに皆さんにおしらせすることになりました。

ええ?中島さんが?地蔵堂にいらっしゃるの?

ご家族の方も皆さんおあつまりいただいた中でのおまいりでした。

どうしてこんなことが起きたのでしょう?今でも不思議です。ただ、ただ、中島さんは来たかったんだろうなあと思うのです。息子さんたちが見送る中、霊柩車は音を鳴らして出発します。

献体が終わられて、お骨になられて、今はまだお寺の納骨堂にいらっしゃいます。ご家族もおまいりにおいでになっていらっしゃいます。

中島さん、今日も大勢の人があなたの五重塔のまわりにいらっしゃいましたよ。

南無阿弥陀仏。

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コメント

この文章を読ませていただき有難うございました。
このような方が本当にいらっしゃるのですね。
お坊様に向かってこのような言葉を言うのは何ですが、この出会いもご縁としか言いようの無い不思議なものです。

私の友人(と言うには親子ほど年の離れた大先輩ですが)で歌人の伊藤鉄郎さんの短歌に私の好きな一首があります。

大概は死んで三日もしてもらん、百年前に死んだも同じ。

私の勝手な想像で故人にたいし失礼があってはいけませんが、きっと中島さんはこんなことを思いながらニコニコして皆さんを眺めているのではないのかな、なんて想像しました。

投稿 黄河1号 | 2006年11月24日 (金) 12:14

すみません、伊藤さんの短歌きちんと調べてみたら少し間違っていました。

おおかたは死んで三日もしてみなさい百年前に死んだも同じ

でした。
訂正いたします。

投稿 黄河1号 | 2006年11月24日 (金) 19:31

黄河1号さん こんにちわ
不思議ですよねえ。
でも結構こういうことはあるんですよ。
「ご縁」の恐ろしさをひしひしと感じています。

投稿 かんえ | 2006年11月29日 (水) 12:58

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